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『恋の香りは秋風にのって』 尾方琳 [◆ロマンスコミックス]

壁の花 恋の香りは秋風にのって
<壁の花>恋の香りは秋風にのって(エメラルドコミックス ロマンスコミックス)『恋の香りは秋風にのって』
◆コミック化◆尾方琳
◆原作◆リサ・クレイパス
◆発行◆2009.11.



アメリカ人実業家の娘リリアンは、香りに強い感受性を持っている。香水商から手渡されたのは理想の恋人と出会う「秘密の香水」。
高慢でかた苦しい英国貴族ウェストクリフ伯爵と、はねっかえりのリリアンは犬猿の仲だが、ものかげで二人きりになったとき、甘いキスをされてしまう。
これは香水のせい? それとも…。
====================

どうも私のリリアンのイメージと尾方先生の描かれるリリアンのイメージが違うようで、上手く入り込めませんでした(~_~;)
コミックとしてはとても綺麗に纏まっていると思うし、尾方先生のほかの作品と比べても見劣りする訳では全くないんですが……(逆に1作目と比べるとコミックとしては読みやすかったです。)
あ、!ヒーローのウェストクリフ伯爵はイメージばっちりでしたv

あ、原作にあった物凄いまでの3作目までの引きは流石にカットされてましたw

うだうだ書いたんですが、ちょっとうだうだすぎたので追記文にしてしまいました(汗)
気になる方だけ↓をクリックしてやってください

恋の香りは秋風にのって (ライムブックス)『恋の香りは秋風にのって』 (ライムブックス)
んでもって原作。既読。
◆発行◆2006.11.


◆◆うだうだ書いてます…◆◆

う~~んコレ、ミニシリーズのまとめとして書こうかと思っていたんですが……(いや、4冊読んでもそう思ったら書くと思いますが)
原作を読んだ時の『壁の花』の魅力ってヒロインたちの強力な個性だと思ったんです。
もちろん、ヒーローたちも個性的で素敵ではあるんですが、ヒロインたちがすっごく判りやすい(笑)欠点と個性と備えていて、それで彼女たちは美人だったり財産があったりしても『壁の花』だった訳です。が、それを乗り越え、受け入れられて愛情に基づく結婚を築く……所が印象的で読む人の心に残ってるんだと思うんです。
でも、結局それが読者に伝わらないままにコミック化されちゃってるんですよね。
確かに受け入れやすいけど、無難な作品…にしかなっていなくて……(現在2作品読んだ限りだとそんな印象です。)
それが押し込まれすぎてるんで、コミック化の解釈が悪いのかページ数が足らないのかイマイチなんともいえません(汗)

本来なら、その強い個性ゆえに漫画にしたらとても映える素材だと思ったんですけど……期待のしすぎだったのでしょうか?

ちなみに、リリアンは勝気なはねっかえり娘として描かれているんですが……はねっかえりというか、彼女は本来なら男性として生まれてくるべき人物であったはずで、彼女自身もその事に酷く困惑とあせりと苛立ちを覚えています。
自らが男であれば、いや、せめて女が男と同じだけ活躍できる時代であれば彼女の生き方も違ったのでしょう。そして、彼女はそれが諦め切れないゆえに女性としての人生を受け入れられないんだ…と。

ただ、それが、自分と同じ位置で物事を見、受け入れ一緒に歩んで行ける男性と生涯を共にすることにより、女性としての性の開放と能力の開放が出来るようになる(なった)んだろうな~っと、思ってたんですが(汗)

どうもその辺のインパクトが弱くて……はねっかえり娘にしか見えない(ノд・。)
読み返すと確かにデータとしては書かれているんですけど。

読解能力が無いだけかしら?
それとも、本来ならリリアンの能力を強くいましめる筈の香水のくだりがただのロマンティックなエピソードにしかなってないせいかも(汗)
あ、いや、ページ数が足りないのか…やっぱり……
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まお

原作を読み込んだからこその深い感想に
敬意を表しつつ…

ゆんさんの感想を読むと
やっぱりページ不足な気がしてならないのですが。
壁の花がコミック化と聞いた時点で既に、
単巻だと絶対に足りないよね~、
って言ってたじゃないですか。

執筆陣は皆ベテランのロマンスコミック作家さんだけに、
達者な筆致で単巻でも見事にまとめあげてくれていますが、
所詮単巻では話の深奥にまでは迫りきれないかと。
それでも、各ヒロインの個性は
出来うる限り表現しようとなさってるとは思うんですけど。

元ネタがいいので、話の筋を追うだけでも
十分鑑賞に耐え得る作品になっていると思いましたが、
(少なくとも並のロマンスよりはずっと優れているかと)
原作読んじゃうとあれでは全然物足りないって話ですよね…(^^;)

ただ、コミックは「華やかさ」「美しさ」などの
視覚に訴える表現は優れていますが、
「懊悩」「辛苦」「混迷」など台詞上に直接現れない行間に漂う感情表現については
作家さんの表現力によってピンキリ。
また、画に気を取られますし、
どうしてもハッピーエンドというロマンスの絶対条件に向けて盛り上げていかなければならないため、
ややもすると作品の真のテーマの追究はおろそかになってしまうのかも…

上下巻でじっくり描いてもらってたら、
ゆんさんの期待した方面も表現できてたかも…

ちなみにリリアンについては、作中では
「気が強くて口の悪いアメリカ娘」
という評価になってますよね。

「気の強い」は誰に対しても明確に自己主張するから、
「口が悪い」は周囲の一般常識範囲外の発言をするから、
そういう評価をされてるわけで。
しかし、上記の点は現代に生きる私たちにとっては至極当たり前のこと。

例えば、
「料理を運んできた召使いにお礼を言うなんて机に礼を言うようなものであり得ない」
と語る伯爵夫人に対して、
「召使いだって人間です」とリリアンが毅然と反論するくだり。
私たちにとっては何の不思議もない主張ですが、
当時の英国では、
いや、下手をするとアメリカ本国の上流社会であっても、
かなり異質な考え方だったはず。

第一作「ひそやかな…」でも、
「この国では身分が全てで貴族でないとまともに扱われない」と
何度も繰り返し強調されており、
周囲からするとリリアンの一連の発言が
どれほど異端であったかを示すのに一役買っています。
(そのことを現代人の私たちに見せて理解させるのには
さぞ一苦労だったろうと推察します)

で、リリアンのその考え方は自身が男女どちらであっても変わらない、
人間の本質に根ざしたものだと思われます。
(もしかしたら、
自身が望むとおり男に生まれてきたら
不当な女性差別に気づくことなく、
むしろそういうことに無頓着な人間として
育っていたかも知れませんが)
これはあくまでもロマンス小説なので、
それを女性としての開花という表現にとどめていますが、
一作目で「身分の差なんて関係ない
(真の愛情が確固たる己の居場所を作る)」
に対して、
本作では「男女の別なんて関係ない
(真の愛情が確固たる己の居場所を作る)」
が表現されたのではないかと。
つまり、ゆんさんのおっしゃるとおり、
自分でも無意識に
「女だから」という考えに捕らわれていたリリアンを
一個の人間として認めることで
「男女」のくびきから解き放つのがテーマだったのだろうと。

だから逆にあの「香水」のエピは
なくても良かったんじゃないのとも思うんですよね。
そんなオカルトめいた小道具を使わなくても
このテーマには十分迫れたんじゃないかって。
原作読んでないから
そう思うだけなのかも知れませんが。

うう、私も何となくうだうだ書いてしまいました…
お気を悪くされたらごめんなさいです<(_ _)>

by まお (2009-11-21 00:15) 

イヴ・D・ローク

う~ん。
やっぱりコミックにするにはページ数が足りないって事なんですね。

by イヴ・D・ローク (2009-11-22 22:57) 

合歓木ゆん

>まおさん
この作品は上記もしましたが『コミック』としての纏め方は凄く良かったんですよ~
でも、まおさんの仰るとおりのテーマが芯として潜んでいるとはちょっとどうしても思えなくて、それがページ数が短いだけ…という感覚になれないんですよ(汗)

特に、コミックだけ読んだまおさんのような読者が『この香水ってなんのために存在したの?』っとなってしまうとリリアン自体のイメージとも食い違いがでてきて混乱するんじゃないかなぁ~と思えてしまって。

ネタばれですが(いや、今更なんですが)リリアンは本当に嗅覚に関連した能力にすぐれていて、冒頭の香水店のシーンでそれを強く印象づけられるんです。もしも男性であれば…と。
そしてまた、今までいろんな要因や多分彼女自身の諦めも在って『結婚』ではなく『恋愛』に関心を向けようとしなかったリリアンが香水店の店主の謎めいた一言により、『自分に理解できない香りの正体が知りたくて』心のスイッチが切り替わる要因になったと思うんですよね。(香水ではなく…個人的なフェロモンの増加を促したと言うかw今まで抑えていたのの箍が外れたと言うかw 実はそういう香水だったんじゃないかと思ってますw)

その要因になったはずの香水のエピだと思うんですけど……

ん~いや、私が個人的にリリアンというキャラクターに深い思い入れを持ってしまったがゆえの違和感と言うのもあると思いますが。(あと、ただ単に尾方先生のリリアン造形にハマれなかったのも…英先生の時には問題なかったのに……<リリアン)

まぁ、どれだけごたごた言ってしまっても答えは出ないと思うんですけどね……
残念でした・゚・(ノД`;)・゚・ 個人的に。

by 合歓木ゆん (2009-11-23 20:25) 

合歓木ゆん

>イヴ・D・ロークさん
ぶっちゃけ、足らないと思います!
確かに漫画家さんには少ない負担で描いて頂けるんでしょうけど(ノд・。)

by 合歓木ゆん (2009-11-23 20:27) 

なすか

コミックだけ読んだ時点では…「香水いらんな~」て思いましたね、本気で。何のためにあるのかさっぱりわからんかったです。

漫画だけを読んだとしても、「壁の花」が(リサ・クレイパス作品全般かもしれませんが)貴族社会の常識を痛烈に批判したものなんだなぁ…ていうのは読みとれるんですけど、その常識に反抗するキャラクター個々人の心の機微まで余すところなく表現したとは言えないな~と思いますね。既に皆さんが仰ってることを繰り返してしまいますけど。

せっかくの身分違い設定なんだから、お互い苦しませるだけ苦しませて、悩ませるだけ悩ませてからハッピーエンドにしてくれないかなぁと思うんですよね。これは漫画家さんに表現力という力量があれば、ページ数で解決すると思うんですよねぇ…。

漫画としてもそれなりに楽しんだので、『これは原作は相当期待できるぞ!描いてないところが読みたいわ♪』とかそっちに意識がいっちゃってます。。

それって本当はあんまり良い傾向ではないですよねー。読み捨てにはしたくないです。
by なすか (2009-12-09 16:17) 

合歓木ゆん

>なすかさん
そう!せめて香水が存在意味があるように見えればそこまでもにゃらなかったんですが! 折角タイトルにまでなっているような小道具なのに(ノд・。)

今回のコミック化、宙出版よりライムの方が得をしているのかもしれません……
小説派が『コミック化って言ったってやっぱりこんなもんか』となってしまいそうな宙出版と、
コミック派が『こんな作品があるのね!原作読んでみたい!』と、なって中チラシでも関連作含めて(今まで宙出版で関連作の案内があったことなんてあったか……?)宣伝打って現行でも新刊で作品が購入でき&あわせて新作発表のライムと。

で、読者から『こんなコミック化して欲しくない!』とか言われてライムが汲み入れて原作回ってこなくなったら…とかちょっとおびえてしまったり(苦笑)
てか、どれだけボリュームのある原作でも単刊っぽいですよね、今後も……今月ハーモニィでクインツが来るけど(ノд・。)

個人的には読み返すならコミックより小説になりそうです…(コメント最下段だと思って辛口ww)
by 合歓木ゆん (2009-12-14 20:52) 

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